結論 — 肩の動きは、壁と床で1分でチェックできます
肩が耳の横まで上がるかは、壁を背にして座るだけで見られます。頭・腰・お尻を壁につけたまま、肘を伸ばして腕を上げます。腰が反って壁から離れたら、腰で動きを補っているかもしれません。
ゴールキーパーはもちろん、スローインで腕を頭の後ろまで上げる場面など、肩の動きが関わる場面は、フィールド選手にもあります。
このチェックは、現場で使っている目安の方法です。検査として精度が確かめられたものではありません。理由は「研究で分かっていること」に書きました。
- 壁に背を向けて座り、頭・腰・お尻を壁につけます
- 肘を伸ばしたまま、腕をゆっくり耳の横まで上げます
- 壁から離れずに上がるか、左右の高さがそろうかを見ます
- 腰が反って壁から離れたら、腰で補っているかもしれません
- 痛みやしびれが出たら、すぐやめます
準備するもの
- まっすぐな壁
- 床に座れる、すべらない場所
- 動きやすい服装
- スマホ(横から動画を撮ると、腰の反りが見やすくなります)
先に確認 — こんなときは、やらないでください
肩に強い痛みがある。肩が外れた(脱臼した)ばかり、または外れそうな感じがある。腕や手にしびれがある。首から肩にかけて、急に強い痛みが出た。
やり方 — 3ステップ
壁を背にして、床に座る
壁に背中を向けて、あぐらで座ります。頭・腰・お尻を、壁につけます。


肘を伸ばしたまま、腕を耳の横へ
肘を伸ばしたまま、腕を前からゆっくり上げます。反動はつけません。耳の横まで上げたら、そこで止めます。

壁から離れずに上がるか、見る
腕を上げている間、頭・腰・お尻が壁についたままかを見ます。左右の腕の高さも見ます。横からスマホで動画を撮ると、確かめやすくなります。

OKとNGの見分け方
| 見るところ | OK | NG |
|---|---|---|
| 頭・腰・お尻 | 壁についたまま | 腰が反って、壁から離れる |
| 肘 | 伸びたまま | 曲がる |
| 左右の高さ | そろっている | 片方だけ低い |
| 痛み | ない | 出たら、やめる |
この見分け方は、現場での見方です。研究で決められた基準ではありません。
結果の見方
壁から離れたり、片方が低かったりしたときは、肩の動きが足りず、腰や胸で補っているのかもしれません。原因として、肩の硬さ、胸の背骨(胸椎)の硬さ、猫背の姿勢などが考えられます。ただし、このチェックだけでは、どれが原因かは決められません。
今日の結果を、横から撮った動画で残してください。1か月後に、同じ壁、同じ姿勢、同じ撮り方で、もう一度撮って比べます。数字の合格ラインはありません。「腰が離れなくなったか」「左右の高さがそろったか」を比べます。
研究で分かっていること
健康な成人10名の研究では、腕を真上まで上げると、胸の背骨(T7〜T12)のカーブが約27°から約16〜18°に減りました(※1)。猫背の姿勢では、腕を上げられる角度が約15°小さくなりました(若い男性12名、※2)。
肩の関節に病気がある患者(62名、86名)の研究です(※3、※4)。対象は患者で、サッカー選手ではありません。
ゴールキーパーの肩・肘のけがは、フィールド選手の約4.6倍と報告されています(アメリカの大学サッカー、※5)。予防プログラムも作られていますが、効果はまだ確かめられていません(※6)。この統計は、このチェックとは関係がありません。
現場で、胸の背骨(胸椎)が硬くて、反らす動き(伸展)が出にくそうな選手を見たことがあります。これは私の経験です。
上がらなかったときは
今日の動画を残して、1か月後に同じ条件で撮り直して、比べてください。測るだけでは、肩の動きは変わりません。動きを変えるエクササイズは、別の記事でまとめます。
痛みが強い、または続く。腕や手にしびれがある。夜中に痛みで目が覚める。腕を上げると、引っかかる感じがある。
まとめ — 今日、横から動画を撮ってみてください
- 肩の動きは、壁を背にして座るだけで、目安をチェックできます
- 頭・腰・お尻を壁につけたまま、肘を伸ばして耳の横まで上げます
- 腰が反って壁から離れたら、腰で補っているかもしれません
- このチェック自体の根拠は、まだありません。目安として使います
まず、今日、横からスマホで動画を撮って、腰が壁から離れるかを見てください。
ご質問は、LINEから
※ ご質問だけでも歓迎です。「肩のことで聞きたい」と一言お送りください。
柔道整復師/サッカートレーナー。高校サッカー部で13年、選手の体づくり・怪我の予防に携わっています。
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参考文献・資料
※1 Rören A, Ogiez R, Gajny L, et al. Arm elevation involves changes in the whole spine: an exploratory study using EOS imaging. BMC Musculoskeletal Disorders. 2024;25:993. PMID: 39633279
※2 Malmström EM, Olsson J, Baldetorp J, Fransson PA. A slouched body posture decreases arm mobility and changes muscle recruitment in the neck and shoulder region. European Journal of Applied Physiology. 2015;115(12):2491-2503. PMID: 26429723
※3 Morriss N, Castle P, Greif DN, et al. Rotator cuff arthropathy impairs shoulder mobility and drives compensatory spine and pelvic motion during overhead task. Clinical Biomechanics. 2026;140:106968. PMID: 42759138
※4 Morriss N, Castle P, Greif DN, et al. Glenohumeral arthritis impairs shoulder mobility and promotes dynamic compensatory strategies during overhead reach. Journal of Shoulder and Elbow Surgery. 2026;35(8):2064-2074. PMID: 41791452
※5 Goodman AD, Etzel C, Raducha JE, Owens BD. Shoulder and elbow injuries in soccer goalkeepers versus field players in the National Collegiate Athletic Association, 2009-2010 through 2013-2014. The Physician and Sportsmedicine. 2018;46(3):304-311. PMID: 29618228
※6 Ejnisman B, Barbosa G, Andreoli CV, et al. Shoulder injuries in soccer goalkeepers: review and development of a FIFA 11+ shoulder injury prevention program. Open Access Journal of Sports Medicine. 2016;7:75-80. PMID: 27563262
この記事は、診断や治療を目的としたものではありません。痛みが続く、しびれがある、腕が急に上がらなくなったなどの場合は、自己判断せず、医療機関を受診してください。

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